ロシアによる侵略戦争により少しずつだがウクライナが後退していることがうかがえる。
クリミア半島は2014年にすでに併合されて全域がロシアの影響下にあるが今回の侵攻ではさらにウクライナのロシア側の国境に沿って北、東、南側から50〜100km入り込んだあたりまでロシアが攻め入っている。
1ヶ月前は停戦協議によってすぐにでも終戦するのではないかと期待をいだいていたが、それは甘い考えでしかなかった。
この戦争はそんなに簡単に終わらないところまできてしまっている。
話し合いでなんとかなりそうな、そんな気もしていたが、話し合いでなんとかなったとしてもウクライナがその領土のいくらかを失う形での決着になることは明白。
というか「戦争」も「話し合い」も、そもそもが政治的な手段のひとつです。
話し合いがだめだったから、あるいはロシア側が最初から話し合いで解決しようという気がなかったから戦争になったわけで、ウクライナ全土を無条件でロシアに差し上げますという条件以外では戦争が避けられなかったのではないか。
もちろんウクライナの国民が無条件で明日からロシアの支配下になることでOKです、なんてことになるわけがない。
つまりロシアがその気になった時点で戦争は避けられなかったと言える。
ある著名人は「すぐ逃げてしまえばいいじゃないか」くらいの発言をしているようだが、正直、想像力が欠如しているとしか思えない。
その土地に根付いて暮らしている人がいて、そこを故郷としている人達からしたら急に戦車で攻め入ってきたロシアの軍隊から砲撃されて出て行けと言われても、「はいすぐ出ていきます」なんて言えるわけがない。
日本に置き換えて考えてみた場合、今、住んでいる地域に中国軍が急に攻め込んできて砲撃を開始したらどうなるか、どう思うか?自分の住んでいる家に向かって銃弾が雨のように飛んできたらどう思うか?想像をしてみたらよい。
逃げたあと、そこに帰って来れる保証などなにもない。
帰って来れたとして、元のように生活することすらできないのではないか?帰ってきたところが日本ではなく中国に変わっていたとしたら元のように普通の生活をすることなど可能なのか?ウイグルで起きたような悲惨な光景が乗っ取られられた日本の国土で繰り広げられるのではないか?
逃げればそれでいいじゃないかという発言は幼稚すぎる。
武器を手に取ってゲリラ戦でも戦い続ける人間が出てくるのは自然なことだ、そういう人の強い意志が国の形を支えているとも言える、その強い意志の上に自由や民主主義や経済活動が成り立っていると気付く人がもっと増えてもよいのではないか。
ゼレンスキー大統領が国を捨ててどこかの国へ逃げ込んでしまっていたら、ウクライナは指揮系統を失った状態になり余裕でロシア軍が首都キーウに乗り込んでウクライナ全土を乗っ取った形で終わっていたのかもしれないがそれはそれで大問題だし、ロシアの帝国主義がそんなに簡単にまかり通るようでは国際的な秩序が成り立たない。
隣の国の領土が欲しくなったらミサイルを撃ち込んで戦車で乗り込めばよいのか?そんなことが普通にまかり通るようになったら軍事力の強い国が、そうではない国を乗っ取ることができる、まさに軍事力をもとにした弱肉強食の世界になってしまう。
今回のロシアによるウクライナ侵攻がこれまでの戦争と違うと感じる点のひとつとして挙げられるのは核兵器を持つ大国によるものでありそれがNATOではない側の国が起こしたものであるということ。
NATO側で核兵器をもつ大国であるアメリカが過去に起こした戦争、ベトナム戦争にしてもイラク戦争にしてもアフガニスタン侵攻にしても侵略戦争となんら変わりはないと私は考えているが、イラクやアフガニスタンを支援する国がなかったため戦力は圧倒的にアメリカが上という状態で世界大戦へとつながるような話にはならなかった。
しかし今回はNATO側ではないロシアが侵攻していて、ウクライナをNATO側諸国が支援しており、その支援は質的にも量的にもさらに大きくなろうしている。
戦力は拮抗している状態となっている。
プーチン暗殺の動きも当然あるだろうがプーチンが死んだ瞬間に核のボタンが押されるような話になっている可能性もある、簡単に手出しができない。
核爆弾が1発でもNATO側諸国のどこかに投下されればその報復攻撃で何発もの核ミサイルがロシアに向かって発射される。
しかしそのミサイルがロシアに到達する前にロシアからアメリカやNATOの諸国の都市に向かって核ミサイルが発射される。
短時間のうちに世界中に核ミサイルが投下されて何千万人もの死者が出る可能性がある。
人類が滅びるとしたら、人類による間違った判断によってなのだろう。
今回は何か悪い夢のような妄想モードに入ってしまった。